(第11回からの続き) 「どうだ・・・還元されてきただろう・・・」 その子は自らの体内から取りだされたパトローネがあの醜悪な匂いのする液の中でグチャグチャに攪拌されている様を見て更に興奮が高まったようで、盛んに気泡を取っていた。だが、タンクを流し台に叩きつけるふりをして実はレンズマウントを擦り付けているのを俺は見逃さなかった。 「スケベなメスブタめ・・・それならこうしてやる」 俺はその子のボディーをプロストで亀甲縛りにすると、背後からマウントに28−200ミリのズームレンズを取り付けた。わざとゆっくりレンズを回転させると、その摩擦が心地よかった。幾度もレンズを付けたり外したりしてゆくうちに、だんだんとマウントが熱くなってゆくのだった。俺はその瞬間を見計らってズームリングをねっとりと回転させた。伸び縮みする鏡筒が劣情をさらにそそったのだった。 モードを絞り優先にして、今度は絞りリングをまさぐる。1絞りごとにカチカチと引っ掛かるクリック感がその子はお気に入りのようで、プレビューボタンも押すように懇願するのだが、わざとじらしてやったのだった。 そうこうするうちに、ダークレスキットに定着液を入れる時間になった。俺は例の臭い液を捨て、今度は卑猥な酸味を持った定着液を入れたのだ。今ごろパトローネの中ではどんなにえげつないネガが出来ているのだろう、と考えると俺はすぐにでも液漏れしそうになったのだった。 縛られてレンズで弄ばれたその子はバッテリー警告ランプを点滅させながらも、なおも何かを求めている風だった。 「来て・・・もっと烈しく発光させたいの・・・」 その子は傍らのスタジオ用ストロボを舐めるような視線で見ていた。ここまで来て何もしないのは、現像液を入れる前に定着液を入れるようなものだ。すなわち、何もしないのと同じだということ。俺は迷わずにシンクロコードをその子のターミナルに捻じ込み、ジェネレーターの電源をONにした。 「ピピピピピピピ・・・・。」 魂を揺さぶるチャージ音が暗室に響き渡った。俺はバリエーターを最大出力に合わせると、その子のシャッターボタンを押した。その刹那、暗室を閃光が走る。その子のボディーの中にも12ボルト程度の電流が流れているようで、その子はその快感を目当てにしていたのだった。 「しびれちゃう・・・。」 |