コンビニの匂い、というのは確実にある。それはあの種々雑多な雑誌類から発せられるのか、それともあの食堂の食品サンプルのような弁当たちから発せられるのか、それとも床のメンテナンスに使われるワックスから発せられるのか、それは分からないがとにかく俺はコンビニに入ると、あの独特の匂いにむせ返る。特に冬場の寒い日にはそれを顕著に感じるのだ。寒い所から入ってきて、いきなり暖められたコンビニの匂いが鼻腔に入ってくると俺は居たたまれない気持ちになる。しかもその匂いは、俺の経験から言えば日本全国津々浦々でどこでも同じだ。そして更にチェーン店ごとにその匂いが違うのだからたまらない。ちなみに俺が一番その匂いを感じるのは「7時から11時」だ。あのカウンターで煮られているおでんがいけないのだろう。だから俺はついつい緑と青のあの店に入ってしまう。近くに2件があって、どちらかを選べと云われたら俺は迷わず緑と青の方に入るだろう。「7時から11時」の弁当のレパートリーの少なさにも俺は辟易しているのだ、余談ながら。 しかし、俺はなぜこの匂いが嫌いになったのだろうか。それはやはり、コンビニとは俺にとって必要に迫られて行くだけの存在だからなのだろう。普段買い物が出来ない時間に空いているコンビニ。その便利さを俺も十二分に享受しているわけなのだが、どうしてもそういう場面というのは切羽詰まっているからいい思い出にならないのである。特に俺が以前にしていた仕事。その時にも大分お世話になったのだが、その時の買い物が何とも理不尽だったものだから、その匂いと状況がセットになってトラウマになってしまっているのかも知れない。 ・・・俺は潔癖症な先生の為に、毎日毎日これだけの買い物を、仕事の行きがけにコンビニでしなければならなかったのだ。この下の全てを毎日揃えるわけではなかったが。 |