第83回

 仕事で早朝草刈りをやっていたという話を前に書いたと思うのだが、一昨日それが遂に完了した。2ヶ月と27日間。しりとり掲示板に俺がカキコんでいる時間がやけに早いなと思っていた皆さんもおられるだろうが、そうなんである。その間の俺は毎朝5時〜6時の間には起きなくてはならなかったんである。もう毎晩10時過ぎには寝るというストイックな生活。でもそれが板についてしまえば結構健康的でイイ感じではあった。体調も何となく良かったし、夜スーっと寝られるのは有り難いことだった。別に不眠症の気がある訳でもないんだけれど。

 で、昨日はそこで働いてくれた皆様と一緒に打ち上げ会をしたんである。こんな御時世に全く会費も取らずにそんな席を設けてくれるウチの会社の社長の甲斐性もさることながら、そこに集まった熟年の皆さんのパワーに俺は得も言われぬ感慨を受けた俺なのであった。60歳を過ぎて定年を迎え、仕事をしたいと思いつつも叶わなかった人達がやっと見つけた仕事が終わる日。もう一生逢えないんではないかという雰囲気が場を支配する中、その会は大盛会となったのだった。いやいや全く。カラオケは一人で何曲も唄いまくるわ俺を呼びつけて説教は垂れるわ、会が終わったというのに飲み続けてさらにバイクで帰るとか言い出すわで、さらにそれを説得してクルマに載せて無理矢理送り返したりして本当に大騒ぎだったんである。仕事の最後に本当に大きな試練が待ち受けていたものだわ・・・。

 でも定年とかって承服できないわよね。体が元気なら、ある一定の年齢に達した瞬間に働けなくなるなんて事はないからね。本気で次の仕事を紹介してくれと訴える皆さんに、何の権限もない俺も何とかしなければと思ったのだった。若い者の仕事も少ないけれど、老年者の仕事もホントに少ないんだな、コレが。どんなに華麗な経歴を誇ってきた人だって、定年を過ぎてしまえばただの無職(語弊はあるが)になってしまうという今の御時世。だったら趣味とかに邁進すればいいじゃないかと思うかも知れないが、今60歳くらいの皆さんは高度成長時代を支えてきた立役者。そう気安くそんな事は言えないんである。仕事こそが生き甲斐といった人達だから。もうマジで止まったら死ぬぞ!みたいな気迫を感じるんだよね。それが正義だとは思わないけれど、やはりそうとしか生きられなかった時代がこの日本にはあった。

 こうした人達が今の日本を形作ってきたのだなぁ、という思いを残して今回の事業は終わった。とにかく一生懸命。それが裏目に出なかったとは言わないけれど、とりあえず豊かな現代を形作ったのはやはり彼らなのだろう。そうした人達と一緒に仕事をすることを通して、俺もひた向きな労働の素晴らしさを改めて知ったんですわ。マジで。機会があったらまたこんな仕事に携わってみたいものだ。老人力。赤瀬川源平のカメラ話はあんまり面白いとは思わないけれど、この造語は的を射ている。


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