第55回
永遠に続く夏休みを、子供の頃誰しも夢想したことがあるだろう。
実際的な問題は抜きにして、
そんな事を無邪気に考えられた時代が、誰にでもあった。
今、俺はある意味で永遠の休暇の中にいる。
世界中どこに住んでもいいし、何の仕事をしてもいい。
その気になれば再び旅に出て、その日暮らしだって出来るだろう。
休暇の終わりを告げるのは死だけだ。
そのタイミングさえ、人間は選び取ることが出来る。
究極の自由は、実は自分の掌の中にあった。
掌の中で玩ぶ、永遠の休暇と究極の自由。
こんなに贅沢なものを持っている事に、俺は今まで気づかなかった。
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帰省ラッシュ