第50回

 今週は、ちょっとした裏技のお話を。写真・暗室の経験がない方には分かりにくいかと思う話だが、まあ我慢して読んでやって下され。

 皆様、カラーポジフィルム(リバーサルフィルム)の画像をPCに取り込む際にはどうしておられるだろうか。フィルムスキャナ?PhotoCD?いやいやそんなリッチマンのためのコラムじゃないんだよココは。出てけ出てけぇぇぇ!!貧者の核爆弾的発想で今週はカラーポジをPCに取り込んでみよう!!まあ結局フラットベッドのスキャナを使うんだけどね・・・。

(1)用意するもの
・モノクロプリントが出来る暗室(これが全然貧者っぽくない)・モノクロ印画紙(パンクロやオルソタイプがおすすめ)・各種薬剤・カラーポジ・PC・フラットベッドスキャナ(安いヤツで全然OK)・その他適宜(フォトレタッチソフトなど)

(2)手順
(1)カラーリバーサルをネガキャリアに装填する。
(2)普通にモノクロ印画紙に焼き付ける。この際ちょっと黒すぎるかな、というくらいの焼き度がオススメ。
(3) ネガ像のプリントが出来るので、それをフラットベッドスキャナでPCに取り込み、適当なソフトで諧調を反転させる(=ポジ像にする)結局モノクロかよぉ・・・。
(4)以上だ!!文句あるか!!

(3)豆知識
・通常のモノクロ印画紙は光の青い部分に感光する特性を持っている(レギュラー)ため、この方法を用いるともとの画像の赤系の色の部分が不自然に白く再現されてしまう(スキャンして反転するとやけに黒く見えることになる)。これを防ぐためには赤の波長にまで感光性が広がったオルソタイプ(フジブロオルソなど)やパンクロタイプ(コニカブロムパンペーパーなど)を使うと理想的。まあ大して分からないんですがね・・・。
・通常のレギュラー印画紙を使う場合、号数は4号程度のものを用いると良い調子になるかも・・・。
・ネガ像でプリントするのには慣れていないとついつい用心して薄めのプリントを作ってしまいがちだが、ちょっと黒いかな、と感じるくらいの方が後のPC上での加工が楽。

(4)作例


オフ会の時の画像っス。
やはり顔がやけに白くなる。
でも裏を返せば美肌モードと言えなくもない。

ContaxST/18mmF4/RMS/ILFORDMULTIGRADERC4



妻の自写像。
明るさとコントラストはPhotoShopで補正済み。

CanonEOS-1/28mmF2.8/RDP2/ILFORDMULTIGRADERC4



昔撮った写真。
コダクロームだとどうなるかと思ったが全然変わらず。
少年たちの穿いている短パンはえんじ色なんだが、
やはり真っ黒に見えますな・・・。

ContaxT2/35mmF2.8/PKR/ILFORDMULTIGRADERC4

 いかがだろうか。今回は正月の残りのポストカード印画紙を使ったのだが、もっと大サイズで取り込みたいのならもう少し大きいサイズの印画紙に焼けばもっと画質もよくなるだろう。ソフトで拡大するより。ちょっと面倒くさいんだが、HPに載せるくらいなら全然問題ないでしょ?さあ!諸君もこの裏技を駆使してカラーポジをスキャンしまくれ!?

 う〜ん、この話を書いてたら昔スガワラ氏(川越東高校写真部Webマスター)がやっていた紙ネガ写真を思い出した・・・。懐かしいねえ。その技というのは、

(1)RC印画紙(でないと以降の工程に支障を来す)をカメラに合ったサイズに切り取り、暗室中でカメラに装填する。(当時は645サイズのスプリングカメラを使用)

(2)通常通りピントを合わせて撮影する。しかし感度が通常のフィルムに比べて極端に低い(1/1000程度)ため、露光時間は長く、しかも勘に頼ることになる。

(3)その印画紙を暗室中で取りだして現像〜乾燥までを行う。

(4)しかる後に印画紙の乳剤面でないほうの樹脂部分を丁寧にはがす。破けやすいので注意だ。

(5)その薄くなった印画紙を通常のネガと同様に引き延ばし機に装填し、プリントする。

 この技は紙の繊維と低い解像度がイイ味を醸し出してくれるのだ。スガワラ殿、勝手に紹介してスマヌ!

 あ!50回記念だったわ!そういえば。これもひとえに皆さまのおかげっす。それっぽいお話はまた来週書きますね。では!!




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