第42回

  率直に云うと、俺の現在の仕事は月に13日から15日は休みなのだ。確かにそれは恵まれた環境だと言えるのだが、自分の都合で休みを決められないのは刑事とか医者のようなものだ。いつでもどこでも携帯電話の着信音に怯えていなければならないのだから。まあ人命にかかわる仕事でもないので気は楽といえば楽なのだが、やはりいつでもどこでも気張っていなければならないから消耗してしまう。どこかで聞いた話なのだが、拷問の一種に、額に水滴を、間隔を空けてたらし続けるというのがあるという。聞いただけでは大したこともなかろうと思うのだが、人間これをされるとそのうちに発狂してしまうのだそうな。それも目隠しをしておくと効果はてきめんなのだとか。何となく分かる気がする。縛られた上にそんな事をされたらやはり平常心では居られまい。今の俺はそんな恐怖の中にいる。

 で、最近俺のそんな恐怖をさらに倍増させる出来事が起こっているのだ。それは何かといえば、「こんなに休みが多いのだから他にバイトしろ」発言。「土曜の夜なんかは絶対にヒマなのだから夜警でもしたらどうだ」とGURU(?)は平然と言い放つのだ。まあ、確かに俺はヒマだし懐も寒い。それで少しでも生活が潤うのならそれは正義なのだろう。だが、しかし、である。こんな不安定な状況なのにさらにそんなことをしたらどうなるか?いつ呼びだされるか知れない仕事をしていながら「定職」を持とうというのは如何なものか。さらにGURUは昔こんな事も言っていたのだ。「俺は食えない時代でも決して写真以外の仕事はしなかった。妻は『マックででもバイトしたら?』と言っていたが俺は『ふざけるな』と一蹴した」これは大いなる矛盾ではなかろうか。俺は写真以外の仕事をしても良いのか?いっそWeb制作でも始めてやろうか?

 俺は彼の「定説」に従って、バイト探しを始めていることになっている。適当なことを言って、条件に合った所がないなどと、今のところはうまくかわしている。しかし現金の魅力は確実に俺を揺り動かす。どうしたらいい?




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