恍惚コラム...

第405回

 最近、オフ会のときにしか更新できていなかったのだが、今週は久方ぶりに2週連続での更新となる。今にして思えば、かつてはなぜあんなに毎週更新できていたのだろうか。カメラマン助手時代、清掃員時代、そして今の職場での前の部署……。毎朝毎夜、愛すべき埼京線に揺られながらそれを疑問に思う間もなく過ごしてきたこの1年あまり。埼京線への愛は変わらないものの、いかんせん通勤時間がMOTTAIなくなってきた……もしかしたら、弊サイトも毎週更新できちゃうかも……! そう。今週は誰もがすっかり忘れかけていた俺自身の引っ越しの顛末について書くことにしたいと思う。全然毎週更新には戻っていないのだが……。

 ことの始まりは昨年の夏の終わり。かねてから、夫が帰ってこない不満を口にしていた妻が動きだした。「そろそろ引っ越さないと!」しかし、俺自身はご承知のとおりの忙しさである。必要だとは分かっていてもなかなか動き出すことができなかったのだが、あるとき重い腰をようやく上げ、ネット上を物色しはじめたのである。今回の引っ越しのテーマは「いかに通勤時間を削減するか」。よって、勤務地である御茶ノ水からできるだけ近いところを俺たちは目指した。湯島や本郷(いずれも文京区)が住みやすそうで、実際歩いてみても好印象をもっていたのだが……こんなに高いとは思わなかった。さいたまにいた頃は2LDKで7万6千円の木造アパートだったのだが、この辺りで同じ間取りを借りようとすれば余裕で10〜14万円の出費に。いや、無理をすれば払えなくもないのだが、家賃というものの儚さに最近悩みつつある俺である。実家を出てから10年近く、ざっくり計算しても800万円近くの金を何の財産にもならない賃貸物件に払ってきたことを考えると、これは思い切ってマンションでも買ったほうがよいのでは? と思ってしまうのである。

 こうした中、ネット上の物件の中に、気になるものを見つけた。某リノベーション物件専門サイト(意味合いはググってください)に掲載されていた、浅草橋の古いオフィスビルを住居向けに改装した部屋である。これは実際に見に行ったのだが、総武線の線路沿いに建つ、おそらく1960年代のその建物はとってもレトロ。レトロというか……とにかく「地震が来たら助かりませんね(笑)」というしかない雰囲気を湛えていた。5階建てというのにエレベータもなく、これは引っ越しがたいへんだと思いながら部屋に案内されると、そこには35平米にわたり、何の仕切りもないフローリングの床が広がっていた。さすが、元事務所だけのことはある。壁は真白なコンクリートで、天井は2メートル以上はあっただろうか? そこに、後付けで透明なシャワー室(!)と流し台、そしてウォシュレットやエアコンなどが取り付けられている。オシャレな空間であることは疑いようがなかった。たしかに、この何の仕切りもない空間をこれからどう使ってやろうかという夢が広がる。しかし……こうした古い建物の常なのだが、鋼鉄製のサッシのすべりが異常に悪く、多数ある窓のほとんどが開かないのである。以前住んでいた、鶴瀬(ふじみの市)のビルもこのような感じだったのだが、こういうサッシを無理にあけようとするといきなり外れ、階下に落ちる可能性があるのである。ただ、これにはどうにか目をつぶるとしても……お家賃、13万8千円。妻はその部屋をいたく気に入っていたのだが、先述のポリシーからすればとても無理。その気になれば会社まで歩いていけて、さらにヨドバシアキバも至近というロケーションは非常に良かったのだが……残念である。

 それから数週間、俺たちは条件を練り直しつつ、週末の不動産屋めぐりを続けた。(次回に続く)



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