第4回

「官能小説で知る写真用語>第1回」

  その、暗室での秘め事を誰が知っているだろうか。写真部室の午後4時。セーフライトの明かりの下で俺は今日もその行為に及んでいた。

 「あっ、Rボタン・・・・」

 「本当は好きなくせに。ほ、ほら、もうこんなになってるぞ。」

 私はRボタンを激しく攪拌した。激しく攪拌すればするほど、その子のRボタンはコントラストを増していき、白と黒のエクスタシーを感じさせた。Rボタンが次第にドライウェルまみれになってゆき、クチュクチュと卑猥な音を立て始めた。

 「いや、なんていやらしい音!」

 羞恥の表情を見せるその子。その頬は既に20M程度の紅潮を見せていた。その表情が、俺の股間を更にズーミングさせた。すでに鈴口からはコニカダックスがもれ、テラテラと輝いている。俺のジェネレーターは既にレディー状態だった。いま、まさに発光寸前を迎えていた。

 「うっ・・・」

 しかし、まだ飛ばすわけにはいかない。せっかくの秘め事を、この程度で終わらせることは俺のプライドが許さなかった。

 「ねえ、もう、いいでしょ・・。」

 その子はもうたまりかねて、巻き戻しノブを回し始めていた。

 「俺の前浴はこれからが本番なんだよ!」

 声を潜めながらも強い調子で俺は言って、流し台にあった竹ピンでその子の、今度はシャッターボタンを責めることにした。その子はもはや深度優先モードに入っていた。絶頂を迎えるべく更に貪欲に求めてくる。

 「あ〜っ早くレリーズして〜」

 その声を無視して、俺は竹ピンを手放さなかった。赤い竹ピンでシャッターボタンを切り続けた。と、その子は自らケーブルレリーズを手にして、

 「これをモードラ連結部に・・・。」

 何たる欲望。俺はそのレリーズを受け取ると、連結部のネジを回し始めた・・・

(続く)

 

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