恍惚コラム...

第393回

 約50日のご無沙汰であった。あるいは、「もう更新は止めたのではないか?」と思われる向きもおられたのではないかと思う。まあ、しりとり専用掲示板をごらんいただければ俺がどのような状態だったのかうかがい知ることができたと思うのだが、ともかくこの1ヵ月半あまりは疾風怒濤の日々を過ごしてきた。ウィークデーは常に夜11時が定時でときに社中泊&徹夜、週末は週末で取材や残務処理に追われる始末……さしものW-ZERO3を活躍させる暇もなくここまでやってきた。しかも途中で祖母を亡くし、忌引きといっても通夜にしか参列できない始末。おそらく、この1ヶ月間の残業時間は120〜130時間に達しているのではあるまいか。ともかく、こうして俺は月刊誌2冊と書籍1冊の編集に携わってきたのである。

 まるでドラマや漫画に出てくる編集者さながらだが、当然のことながらあんな偉そうなものではない。企画が途切れたといえばうんうん唸って知らない著者に電話をかけ、じっくり原稿を直そうと思えば時ならぬ電話や雑用に悩まされ、いざ原稿が揃ったといってレイアウトに廻せばページ数の多さに嘆き、ページ数が多ければ当然印刷代がかさむから削れと責められ、泣く泣く著者に頭を下げるといった日々。これの繰り返しだ。で、こうした多忙な日々を過ごしていると、逆に社中泊のほうが快適なのではないかと思えてくるから危ない。

 なぜなら、社中泊であれば午前3時に寝ても午前9時に起きれば6時間は睡眠時間を確保でき、しかもJR最強の埼京線の満員電車に揉まれる必要もないからである。0時に無理矢理家に帰っても寝られるのはどうみても午前2時過ぎ、しかもまた朝7時過ぎには起きなければならないことを考えればとってもリーズナブルな選択と言えなくもないのである。しかも余録として、夜中のビールが異様にうまいということも挙げられる。なぜ、ああして疲れ切っているときのビールはうまいのか。後は適当にコンビニ弁当をつまみ、寝袋に入ってひたすら寝るばかり。お供は、会議室に持ち込んだ小型テレビから流れる他愛もない通販番組だ。いつもオフタイマーを30分に指定して寝に入るのだが、おかげさまでそのテレビが消える瞬間を見たことはない。それだけ素早く寝てしまっているということだ。

 ただし、その安眠を妨げる要素も存在する。それは、朝6時頃から活動をはじめる掃除のおばちゃんである。彼女は会社の定時―すなわち朝9時半までに8階建てのビルの全室、全トイレ、全ゴミ箱を片付ける使命を負っているのだが、当然俺が寝ている会議室もそのミッションに入っている。で、当然のことながら会議室のドアを早朝に開けてくる。しかし奥ゆかしい彼女は俺が寝ているとみるや、そっとドアを閉めてしまうのだ。この心遣いは嬉しいのだが、それ以降30分くらいおきにドアがそっと開き、寝姿を観察されてしまうのはいかがなものかと思う。まあ、それでも構わず寝続けている俺も俺だし、そもそも会社に「住んで」いる時点で大きな問題なのだが……。

 で、朝9時過ぎ。俺は人目を避けるように服を着替え、通勤時間ゼロで仕事へと戻るわけだ。

 ところで、こうした話をすると社内でも社外でも「人が足りないのではないか?」という質問にあう。もちろん部内でも同じ疑問が渦巻いていたことがある。しかし、いつの間にかわれわれ編集部員が増員を要求することはタブーとなってしまったのだ。それはなぜか? それはまた別の機会にでもお話ししたい。

 いよいよ来週は恒例のオフ会である。来週はこのお話になるだろう。



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