恍惚コラム...

第368回

 昔であれば、PCに搭載されている最新CPUの名前もクロック周波数もそらで言えたものなのだが、最近ではどうにもわからない。Macにしても、その昔は「PowerPC 604e 233Mhz」「PowerPC G4 933Mhz」と覚えやすいものだったのだが、Intelが搭載されてから急に覚えづらくなった。まず、機種ごとに搭載されているCPUが違うところがマズイ。XeonにCore Duo、そしてCore 2 Duo……そしてCPUごとに細かく増えていくクロック周波数は30代の脳みそには辛いものがある。21世紀になればクロック周波数などとっくに3、4Ghzが常識になっていると思ったのだが、2.33とか2.66とか、非常に細かいクロックアップが繰り返されている。そのわずか数%の数字が性能にどれだけ影響するのか? 疑問は尽きない。

 話はがらりと変わるが、会社に置いてある、まさにその「PowerPC G4 933Mhz」搭載機が不調である。今週のはじめからシステムを認識しなくなり(ちなみにOSはMac OS 9.2.2である)、システム付属のユーティリティーや今となっては懐かしいNorton Utilitiesなどを使っても全然ダメ。俺は普段から自前のノートン先生を机の中に忍ばせては細かな不調に対応してきたのだが、さしものノートン先生を使っても回復できないのはこれが初めてである。何しろ、ノートン先生のCDで起動しても肝心のハードディスクがマウントされない(デスクトップに見えない)のである。で、ノートン先生のCDにオマケとして入っているDisk Warriorのお試し版を使ってみたのだが、何とかハードディスクの存在を嗅ぎつけてくれるものの「これ以上は製品版をお使い下さい」的なメッセージが出てしまう。他社製品のCDに入っておきながら自らを売り込むなんて! なんて恐ろしいソフトなのか……。

 すっかり途方に暮れる俺。しかし、ふと思った。そのMacにはバックアップ用として2台のハードディスクが内蔵されている。そこで、そのもう1台のほうに新しいシステムをインストールして、何とか「ニコイチ」的に復旧できないか。……ええ、やってみました。だが、そもそも元のハードディスクを認識しないのに古いデータを救出できるはずもなく、あえなく敗退。当然、その後もPRAMクリアなど思いつく限りの方法を試したのだが、これが寿命というものなのか……。

 幸い、自宅のマシンでこれほどのクラッシュに遭ったことのない俺である。しかし、会社のマシンというのは使われる条件が違う。不特定多数の人間が好きなところにファイルを置き、フリーズすれば即強制終了。フリーズ後の再起動時におけるディスクスキャンもキャンセルする人が多いし、機能拡張もフォントも満載である。そして何より怖いのが、営業時間中は常時電源ONという点である。Appleがどれだけの耐久性を考えているのかは不知だが、少なくともハードディスクについてはどこにでもあるようなものを搭載している(サーバー用などではないという意味で)。自宅のマシンならばこまめに電源を切ったりスリープに入れたりするところなのだが、会社のマシンではそうもいかないであろう。何より、もう5年落ちのマシンなのである。

 まあ、来るべきものが来たと言うしかないのだろう。それにしても、壊れたまま俺の視線の右端に入ってくるG4が不憫で仕方ない。会社のマシンなのに、なぜこれだけ愛着が湧くのか。それは、どんどん廃れていくPowerPCの血脈に対する思いなのかもしれない。貰えるものなら速攻でハードディスクを入れ替えて俺色に染め上げてみせるのだが……。中古でもまだ10万円前後で取引されているし……。



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