恍惚コラム...

第359回

 幣サイトもすでに開設から8周年を迎え、この間にはさまざまな出来事があった。サーバーや掲示板の移転を数回行ったのはご承知のとおりであるし、この過程では多くのコーナーが去来していった。また、読者各位からの声や広告書き込みへの対応に多くの時間を費やしてきたこともまた当然である。そして、そこから生じたさまざまな人々との出会いと別れ……何しろ、ここはインターネットという公共の場。その気になれば世界中から見ることのできるサイトを開設しているのだから、それ相応のリスクや手間はつきものであろう。もちろん、ここは俺が好きこのんで開設しているサイトである。そうしたことに愚痴を言うつもりはまったくないのだが……。

 しかし、俺は今ここに来て新たな事態に遭遇している。8年間もやっているのにどうして? と思われるかもしれないが、ついに弊サイトの内容が妻の目に触れてしまったのだ。まさに灯台下暗しである。

 俺は、決してそれを避けてきたわけではなかった。だが、パソコンなどのデジタル系機械には微塵も興味を示さない妻のこと。同棲時代を通じたこの10年間、傍らにはつねにパソコンがあったにもかかわらず、妻はそれを自ら操作しようとはしなかったのだ。そして、俺がパソコンを使って何をしているのかについても問うことはなかったのである。恐らく、今ここで家のPowerBookがDELLのXPSにすり替わっても妻は何も言うまい。妻は、それほどまでにパソコンに疎い……はずなのだが……。

 さる8月、妻が専業主婦になるに至って風向きが変わってきたのだ。インターネットから入手できない情報・商品はほとんどない現在、妻は有り余る時間を使ってパソコン(というよりもインターネットだが)に挑戦しだしたのである。某コールセンターのアルバイトで培ったタイピング術を駆使し、妻はめきめきと腕をあげていった。深夜に帰宅した俺にインターネットで知ったことを教えてくれることもしばしばとなり、いつかはこんな日がやって来るかもしれないとは思っていたのだが……。

 そして、そんなある日。妻はついにGoogleの検索窓に「Ecstasy Books」の13文字を入力したのである。妻がどの時点で「Ecstasy Books」の名称を知ったのかはまったく不知だが、今となっては関係のないことである。結果、妻の眼前に広がったのは 「根暗新聞」「カメラマンにならないためのいくつかの方法」「恍惚コラム」といった幣サイトのすべてのコンテンツ。見られて困ることを書いた覚えはない(?)のだが、やはり他人様に見られるのとは違う気持ちである。そして、俺が今後ここに書いていくことも絶対に読まれるに違いないのだ。これからは読者各位の視線はもちろん、妻の視線も意識しながら書かねばならないこの恍惚コラム。今後の展開に乞うご期待(?)である。

 しかしそれにしても、「根暗新聞」を読んでも全然動じていない妻の態度はどうだろう。さすがは俺の妻だと称賛するべきなのか、それともとんでもないど変態か……。相手が悪ければとうに離婚モノなのではないだろうか? ええ、素晴らしすぎます。これからもぜひよろしくお願いします。

 それにしても、世のホームページやブログのオーナーは家族との折り合いをどのようにつけているのだろうか。ご意見や実例があればぜひ拝聴したいものである。まったく脈絡のない文章になってしまったが、今週も徹夜明けなもんでご勘弁を……。



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