第358回
この数ヶ月間、毎月100時間以上の残業を叩き出している俺。毎日朝9時過ぎには出社し、気付けばラジオ深夜便が始まっているような時間まで会社にいるわけである。前の部署ではいくら遅くとも夜9時過ぎには帰宅していた俺は当初こそ面食らったものだが、今では夜10時前に帰ろうとすると無性に罪悪感を覚えるのだ。慣れというのは本当に恐ろしい。数ヶ月前まで、こんなにもモーレツに働く自分の姿など想像もできなかったというのに……。 そして、昨日は入社以来初の完全徹夜を敢行してしまった。いや、はじめは徹夜しようなどというつもりは毛頭なかったのである。いっつものとおり出社し、迫り来る締め切りと戦い、著者と丁々発止のやりとりをし、入ってくる原稿をちぎっては投げ……たら誌面が真っ白になってしまうのでそれは諦め、……ていたらもう夜の8時。ここまではまあ普通のことである。大体、この時間になるとあと2、3時間で終わりそうな仕事を始めて時間調整を図るのだが、昨日は違った。今夏発売の某別冊の進行があまりにもカツカツになっているのである。俺は上司と2人でその任務にあたっているのだが、別冊というのはあくまで「別冊」なのである。ここは月刊誌の編集部。毎月大体決まった量の原稿が入ってきて、毎月大体決まった日に責了して、毎月同じ日には売りに出さねばならないものを作っているのである。何を言いたいのかといえば、つまり「別冊」というのはあくまでもこうしたルーティンワークに上乗せすることで初めて発行することができるのである。大出版社であれば恐らく外注に出すこともあるのだろうが、ここは超マニアックな(?)専門書の会社である。決してカネがないわけではないのだが、著者の原稿は編集者が全て読み、レイアウト〜著者校正〜入稿までの業務をこなすのが伝統となっているのだ。 それを、俺と上司は普段のルーティンワークにかまけてかなりの間放置(というほどではないが)していたのだ。冒頭に述べたとおり、これを放置していても100時間の残業パラダイスなのである。この間、俺は他の書籍も担当していたし……。で、別冊の任務を遂行するには徹夜ぐらいしないと……。ということになるのである。 10時、まだまだ余裕。 そして、朝10時までの徹夜の時間はあっという間に過ぎ去っていった。最後の2時間は国際宅配便(DHL)の集荷待ちで無駄に過ごしたことも付記しておかねばなるまい。おかげで、まあ「ここまでやりきろう」という目標には達することができたのだが、上司の「あと何日徹夜すれば完成するかな〜」との言葉にさっそく萎えている俺である。 雑誌の別冊というのは必ずしも本体と同じように売れるとは限らないものだが、そこには本体を作る以上の労力が込められているのだということを実感する今日この頃である。読者各位も、書店で雑誌の別冊を見かけたら暖かい目で見守っていただきたいものだと思う。それでは、改めて寝直すことにします……。良い週末を! |