第336回
所詮どんなに突っ張ってみたところで、仕事にWindowsマシンが必要なことは認めざるを得ない。結局、われわれ業務ユーザーは業界のデファクトスタンダードであるところのOutlook(Express)でメールを打ち、MS Word形式で添付されたデータを開き、PowerPointで十年一日のごときプレゼンテーションを見なければならないのだ。もちろんこれらのことが他のパソコンで不可能かといえば「否」だが、たとえば同じことをMacでしようとすればフォントの違いや文字コードの違いに悩まされる。仕事柄、たまには一太郎で書いた文書などを入手することがある関係上、やはりWindowsは手放せないわけだ。また、こまめにウイルス対策ソフトや修正パッチを当てなければならないところもパソコンを愛する心を育ててくれるというものだ(笑)。 そんなこんなで、俺は会社のデスクに置いてあるWindowsマシンを非常に大切に扱っている。物理的にではなく、ソフトウェア的にだ。デスクトップテーマは「Windowsクラシック」にして負担をかけないようにしているし、仕事と関係ないソフトはほとんどインストールしていない。片付けの苦手な俺のことである。デスクトップにはアイコンが散らかり放題なのだが、それができなくて何のためのGUIだと思って放置してある。そのアイコンにしても、自らカスタマイズしたものなど皆無なのだ。 しかし、である。俺が会社からPentium4 2.6Ghzマシンを下賜されて以来2年あまり。最近では何をするにも遅くなってしまって困り果てている。当初からメモリ容量の変更はなく、ハードディスクはまだ半分以上も空いているのにとにかく動きが鈍重になっているのだ。Wordを使いながらOutlookを立ち上げるとその画面が上からジワジワと降りてくる感じだし、そのOutlookをやっとの思いで終了させると今度はなかなかWordに戻れない。書きかけの文章は見えているのに、キー入力を受け付けるまでに時間がかかるのだ。 これが遊びのパソコンならばあらゆるユーティリティーを試し、さらにバックアップを取ってOSの再インストールまでしてしまうところだろう。しかし、時はまさに仕事の最中である。Windowsに暗い俺があちこちいじってもロクなことにならないだろうし、パソコンがなければまったく仕事にならないから放置するしかないのだ。たまにデフラグを試すこともあるのだが、まったく効果なし。試しに入れてみたメモリ使用量監視ソフトによれば、このパソコンは起動直後から全メモリ(256MB)の80%以上を喰われていることが分かった。もしかして、「Googleデスクトップ検索」や「Picasa」といった常駐系のソフトのせいなのだろうか。いずれのソフトも今や仕事に欠かせなくなっているので手放したくないのだが……。 パソコンが古くなり、相対的に遅くなっていくのは理解できる。死語かもしれないが、ドッグイヤーで物事が進んでいくのがパソコンの世界だ。最新のパソコンを買ったにもかかわらず、それが新製品の登場によってかすんでいくのは致し方あるまい。しかしだ。この使えば使うほど遅くなっていくWindowsというOSはたいへん悩ましい。機械的にはほとんど摩耗することがないにもかかわらず、この遅さ……。 この理由を的確に説明できる人には嗤われるかもしれないが、少なくとも俺が使ってきた各種のMacにこうした現象は起きてこなかった。とくに現在所有しているPowerMacG4(2003年式、1.25Ghzシングル)は、OS9.X時代からシステムの上書きを繰り返して使い続けている(以前所有していたG4 Cubeのシステムをそのまま移植して起動していた時期もあった)。特筆すべきは、中古で買ったマシンなのに自分では一度もクリーンインストールをしたことがないという点だ。おすすめできないとされながらも差分アップデートを繰り返し、結果として現在ではOSXの最新版が稼働しているのである。しかも、それでいてまったくパフォーマンスの低下を感じないのはどうしたことだろう。これは俺がMacびいきだからなのか。それともメモリ搭載量(このG4には1GBのメモリを積んでいる)の違いなのだろうか……。 この秋、部署異動にあって違うフロアに移る俺。これを機に、このDellを何とかしてやろうと画策する昨今なのである……。 |