恍惚コラム...

第326回

 昨日―2006年6月24日、第22回しりとり専用掲示板オフ会が開催された。毎回毎回、つっちー殿のお世話になりながら回を重ねている本会であるが、昨晩はオフ会初参加の方2名を迎え、またひと味違った会とすることができた。

 京浜東北線・北浦和駅の午後2時20分。徒歩圏にあるその駅へ向かった俺はまだ朝食しか済ませていなかった。なにしろ3週間ぶりの休日である。妻も俺もひたすらグダグダしていたら、昼食をとる暇すらなかったのは想像に難くないであろう。で、駆け込んだのが駅前のウェンディーズだ。できるだけ早く出てきそうなメニューを厳選し、バイトのお姉さんにオーダーしたのだが……視線に入ってきたのは冷凍もののポテトをフライヤーに投入するバイトの兄ちゃんの影。まずい。ポテトが揚がるまでには相当の時間がかかりそうだ……。

 案の定、トレーには番号札が載せられることとなった。残りは後でお届けしますので先に他のものを食べててね〜、というアレである。そこで俺はすぐに出てきたなんとかバーガーをコカコーラで流し込みつつポテトの到着を待った。結果、俺は数分後にやっと到着したポテトもほとんど味わうことなく、俺は北浦和駅の改札へと向かうこととなったのである。

 そこに現れたのは誰あろうつっちー殿。2月以来……と言いたいところであるが、実は先月ビックカメラ大宮そごう店で会っていたのである。知り合って以来6年近く、こうしてたまに逢うだけなのに何の違和感もなく会話に入ることができるのはさすがエクスタシーブックス魂である。2人きりのオフ会にももう慣れているし……? 昨日も前回と同様、一次会はスーパー銭湯で行われる運びとなっていたのだが、俺は内心、今回も2人でお風呂プレイなのだろうと思いこんでいた。しかし、である。数分後には「139」氏が現れた。オフ会初参加者の1人めである。

 俺と139氏の関係はずいぶん長い。そもそものなれそめは中学1年の頃に通っていた進学塾でのことである。小学校も中学校も別だった彼と同じクラスになったのだが、いつの間にかマブダチになっていたのだ。これにはあの「根暗新聞」の功績が大きい。おかげで俺は相当なド変態だと思われることになったのだが、それ以来つかず離れずの関係が続いているのである。ちなみに俺の同じ歳の従兄弟は彼と同じ高校に進んだため、それを通じても共通の友達であり続けることができたのである。柔道で鍛えたボディーが相変わらず眩しかった。

 そして俺たち3人は一路、北浦和のスーパー銭湯「湯屋敷 孝楽」へと向かった。前回のオフ会とは違って天然温泉の店ではないのであるが、駅から歩いて行けるというのが魅力の店である。こういう店は大概郊外に位置しているものだが、ギリギリ住宅街で営業しているところがすばらしい。土曜の昼間には暇をもてあましたリタイヤ組やヤンママの子ども連れなどが群がり、アイデンティティを失った埼玉の住宅地の縮図を見ることができる。

 そこで早速、俺たちは裸のコミュニケーションを開始した。露天風呂を攻め、寝ころび湯を攻め、サウナでは速攻でギブアップ。時には露天風呂脇のベンチで休息をとりながら40分近くにわたって入浴プレイを楽しんだ。露天風呂からは近所のビルの窓がモロ見えになっており、ちょっとドキドキである。女風呂はどうなっているのだろうと余計な心配をしてしまう。まあ、その手の人にとってはたまらないロケーションであると言えよう。話題も思わず田代まさしや植草教授方面になっていったのは言うまでもない。

 2次会は午後6時からを予定していたのだが、俺たちは午後4時にはすっかり風呂上がり状態であった。そこで始まったのが、いかにもウチらしい「怪しいジュース対決」。ああいう店独特の、高価なメニューを眺めながら暇をもてあましていた俺たちは見つけてしまったのである。「パイロゲン」に「コエンザイムQ10 もろみ酢ドリンク」……ほかのジュースに比べて非常に高価(各350円)なそれらのメニューを俺たちが見逃すはずもなく、まずつっちー殿が先陣を切って「パイロゲン」をオーダーしたのである。

 パイロゲンは酢とミネラルウォーターをベースにあらゆる栄養素を配合した血液サラサラ系のドリンクなのであるが……何だか炭酸の抜けたリアルゴールドを酸っぱくしたようなお味だった。また、その後俺が注文したもろみ酢ドリンクも似たような系統で、こちらもあのスリットを赤血球がスルスル通り抜けていく様子をイメージできるアイテムであった。しかしどちらも、あの量で350円とは……おそるべしパイロゲン。139氏が「略称:パイゲ」と言ったのもお笑いである。

 そんなこんなで1時間あまりを潰し、われわれは浮間船渡駅へと向かった。以前のオフ会でも使った「串鐵」に行くためである。道中はずっとスポーツのお話。ご承知のとおり俺はスポーツの話をまったく解しないのだが、つっちー氏と139氏はなかなか盛り上がっていた。初対面同志とは思えないなじみ具合に安堵する俺。ついには「川越サッカーチーム タンボーレ川越」などという与太話も飛び出す始末であった。これは「ザスパ草津」などに対抗するべく川越のサッカーチームを作ろうという話題のなかで生まれたものであり、久下戸に広がる田んぼをイメージしたネーミング。この話題は終日引っ張られることとなり、監督にはアルシンドが、スポンサーには山田うどんと一源、そして十万石ふくさやが、キャラクターにはかかしが採用されるといった設定が事細かに語られることとなった。田んぼで練習している関係上、農繁期には稲刈りに狩り出されたりする(?)そうである。

 果たして、浮間舟渡駅に到着。われわれはここで第2の初参加者・ジャッカル氏を待つこととなった。ジャッカル氏は千葉県出身・練馬区在住の25歳。木更津の拓殖大学紅陵高等学校時代には写真部に在籍し、そのホームページを運営していた張本人である。彼の卒業とともにそのサイトは閉じられてしまったのだが、彼自身は現在そのサイトで見せていた文才を生かしてフリーライターとして活躍中なのである。プライバシーの関係上、具体的にどのメディアでとは言わないが、まあ(このページを見ている方であれば)ほとんどの方が知っている出版社で書いているのである。

 ジャッカル氏はさまざまな話を聞かせてくれた。180センチはあろうかという長身とクールな風貌を裏切らない話題―大学在学中にはミニコミ誌を作っていたことや、30歳を過ぎてもライターとして食っていけるのかどうかといった話、スポーツの根性論が嫌いといった話やカウンターカルチャーへの傾倒ぶり、そして俺をもっとも唸らせたのが「結局どんなメジャーな出版社に入っても、仕事の辛さは(中小と)変わらないだろう」という論である。俺自身も28歳で学術専門書の会社に滑り込んだ立場なので、その話はおぼろげながら理解できた。大学卒業とともにライターとして飛び込みで営業してきた彼の話は、一言一言が重い。彼が今後どのような活躍を見せてくれるのか楽しみになるとともに、俺自身の来し方をも振り返ることができる一夜であった。

 また、ジャッカル氏は幣サイトを評して「作家志望の奴らはいつか自身のホームページが出版社に見いだされることを待っているものだが」「エクスタシーブックスにはまったくそうした所がみられない。写真部という(閉じた空間の)ノリをそのままにしているところが良い」とされた。まあ俺は決して作家志望というわけでもないのでこうした評にはあたらないわけだが、素直にこの言葉を喜んだ。

 その後、会場には飛び込みで後三条友美氏も来場。久々(?)に5名での開催となったオフ会の夜はひたすらに更けていったのである。次回は秋口くらいの開催になることと思われます。改めてご参加の皆様にお礼申し上げるとともに、次回も何卒よろしくお願いいたします……。 
 



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