恍惚コラム...

第298回

 川越東高校写真部部室の「無血開城」から、早くも2週間が経過した。先週も同じようなことを書いたが、事態はそれ以来すっかり沈静化している。「開城」前後にはどんどんログを重ねていった掲示板も、毎日何かしらの連絡が入ってきていたメーラーもすっかり静かになってしまった。誰もがこれ以上余計な心配をしなくてもすむようになった証左ではあろうが、やはり寂しさは隠せない。多くのアイテムが無事OBらの手に渡った点については大きな成果を上げたのだとは思うが、今後のあり方についてはまだ議論の余地があるだろう。

 11月もすでに20日である。かねてより告知してきた「OB会仮結成」の期限である12月末日まであと40日だ。俺とて人のことを言えた義理ではないが、OB会の「統一」が図られるその日までは弛むことなく議論を続けていきたい。すっかりおなじみになった与野のジョナサンでの集会があと何度続けられるのかは不知だが、この「無血開城」でいくらかのしがらみを除くことができたのは幸いである。当日の人出は満足のいくものとは言い難かったが、従前の各種集会からすれば大きな進歩といえよう。

 そこでカギとなってくるのが、この「無血開城」でわれわれOBが確保した物資の行き先である。この中にはOB共通の資源が多く含まれており、個人宅の押し入れにしまい込まれるべき種類のものではない。ネガフィルムに各種日誌、落書き帳やカードゲーム類などなど……。確実に「誰のもの」とはいえないが、誰が見ても懐かしさを感じられるという点においてこれらはOB全員の資源である。

 当然、「無血開城」に立ち会った人間のあいだでは「これらの物資を持ち寄り、それを肴に酒を酌み交わす」という案が浮上している。おそらくこの年末〜年始にかけて行われる集会はこうした形態になることだろう。だが「OB共通の資源」としてこれらを鑑みるに、どうしてもそうした集会に参加できない―地理的、あるいは時間的な事情によって―人々のことも考慮しなければならないだろう。

 そこで、まだ実効性は未知ながら検討されているのがこれらのデジタル化である。現代は一般向けのパソコンでDVDなどという、昔からしてみれば途方もない容量のメディアを作成できる時代である。そこでこれらの資源を分担してスキャンし、OB共通の資源として保存・配布をすすめていこうというのである。聞くところによれば昔の撮影旅行のビデオテープを持っている方もいるそうなので、こうしたアイテムも収録すればより深みが出ることだろう。また、皆様ご存知の各種カセットテープも収録できればたいへん面白い。冗談ではなく、DVD数枚組みの「DVD-BOX」すら作成できそうな勢いなのである。

 紙媒体のスキャンにたいへんな時間がかかることは、すでに皆様も経験されていることと思う。ネガからのスキャンではなおさらのことだ。また、これらを単に画面上で見られれば良いことにするのか、それとも実際の体裁で印刷までできるようにするのかも悩みどころだ。これらによってデータ量やパソコンに要求されるスペックも相当変わってくるからである。さらに、これらのデータを一定の規則(ファイル名や画像形式など)をもって整理しなければ、結局うまく活用できないままに終わってしまう可能性もある。個人的にはこのような基準を考えているが、如何であろうか。

 (1-a)紙媒体は350dpi、実寸、RGBカラー形式でスキャン
 (1-b)各種フィルム(35mm)は350dpi、グレースケールもしくはRGBカラー、4000×3000ピクセル程度でスキャン(ファイルサイズは30Mb程度になってしまうが……)
 (2)画質劣化を防ぐためtiff形式で保存
 (3)各種冊子、日誌ごとにページを追ってPDF化
 (4)ファイル名については簡潔を旨とし、誰にでも理解できる分類を心がける。

 350dpiというのは商業印刷を行う際の基準となる解像度であり、この基準で画像が保存してあれば万が一(!)印刷して配布することになった場合にも安心できるものだ。当然印刷にかける際にはRGBからCMYK形式に変換する必要はあるが、それではファイルサイズが大きくなってしまうし、家庭用のプリンタで出力する分には大差ないものだ。

 また、一般的なJPEGではなくtiff形式を選ぶことも大切である。圧縮率によっては文字などがつぶれる可能性のあるJPEGは避けた方がよいだろう。PDF化には賛否が分かれるところであろうが、各種フォルダなどに画像をバラバラのまま保存しておくよりは見やすくなるはずだ。特定の画像ソフトに依存しない形式としてのPDFの利便性は疑いようのない部分だが……それとも画像は画像とし、皆様がお好みの画像ビューアで見ていく方が簡単なのだろうか。これについては皆様のご意見を伺いたい。

 何にしろ、たいへんな手間と時間がかかる作業であることは疑いようのない事実である。しかし、誰もが抗うことのできないほど魅力的なプロジェクトであることも間違いなかろう。この年末年始にはこのような話も進めたいと思っているところである。



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