恍惚コラム...

第294回

 川越東高校写真部の話題も、いよいよここに極まった感がある。現生徒会室の選択授業用教室および新聞文芸部々室への転用、および生徒会本部の暗室への移動が決定したというメールがさる現役生から届いたのだ。あの流しが、そしてあの二重扉が生徒会活動をどう利するのかは不知だが、まずは寂しさも一入、というほかない。

 選択授業のためにというが、現代の教育行政は「平等」の美名のもとで個々に「最適」な、手間のかかる方法を求めすぎているのではないだろうか。ただでさえ少子化が進むなか、1クラスあたりの人数はどんどん減少している。これにより、わざわざそのために授業の科目を分けなくとも効果的な授業は可能になると考えるが如何なものだろう。これは従来なされてきた、「全員に同じ事をさせ、その優劣を競い、嘆くことによる成長」を軽視している証左ではないだろうか。私学において生徒は顧客たりうるものだが、これは私学たるいち川越東高校に限った事態ではない。巷間、教員が余っているのかどうかは寡聞にして聞かないが、いわゆるゆとり教育以後、教育に関する良い噂を聞いた日があっただろうか? 同級生殺しや爆弾事件、いじめが少なくなったと思ったら今度は教師に対する暴力が増加する始末。公立の学校までが生徒をお客様扱いし、腫れ物に触るような対応をしているからこのような事が起きるのである。多くの私立高校が胸を張って「本校は週休2日制ではありません!」と宣言しているのも納得だ。学校は、やはり私塾とは違う。得意なところを好きなように伸ばすという考え方は、公教育にはなじまないものだと俺は以前から考えている。そのために写真部の部室が割を食うのはまことに心苦しい。

 閑話休題。このニュースに触れ、OB諸氏にはさまざまな感想があるだろう。「最後に写真部本来の部室を見ておきたい」「学校の決定なのだから、関わらない方がよい」「私物の回収はどうなるのか」などなど……。廃部前後に巻き起こった賛否両論がまた蒸し返されそうな気すらしてくる。確かに、学校が自らの設備をどう使おうともわれわれにとっては埒外だ。ここにおける論点は、やはり「私物の始末如何」ということになるだろう。

 俺自身は、写真部の再興なるまでは2度とあの敷居をまたがない覚悟でいたのである。しかし、部室が温存されないと聞くやいなや、寄付してきた物の行方が俄然気になってきた。どうせ誰も触らないだろうと放置してきたコンパクトデジカメ。今では結構な価値が出る(?)であろう長尺フィルムローダーなどなど。自宅に持ち帰ってもすぐに使うわけではないが、こうしたものが来たる生徒会室に置かれている価値は全くないのである。どうであろうか。学校側を刺激したくないのはやまやまながら、OB 各位にもきっと思い出の品があるはずである。部室は聖域として、物を放置しておいても大丈夫と考えてきた諸氏にもじっくりと考えていただきたい。OBが誰も行かず、勝手の分からない人間によって引き伸ばし機やらカメラ関係がぞんざいに扱われるのもまた切ないではないか。聞くところによれば、生徒会担当教諭は「写真部の復活はありえなくない」と発言したそうである。写真部再興の可能性が完全にゼロとは言い切れないなか、そうした資機材の適切な保管について最後の奉公をしてみたいと俺個人は考えている。

 その移動は、この10月14日〜18日にかけて行われている中間テスト終了後に行われるという。実際に開始する日時は未定であり、しかも1日ではなく数週間をかけて徐々に移動されるのだという。幸い、その現役生(生徒会役員)は俺に詳細な情報を提供して下さっている。俺は川越東高校写真部掲示板はじめ、各所でその開始日時を把握ししだい皆様にお伝えしていく。連帯して赴くにしろ、個人として赴くにしろ、これは川越東高校写真部に所属していた人間にとって一つの大きな節目となるのではないだろうか。

 と、言っている間に同氏からこのようなメールを受け取った。
「会長に予定を聞いてみたところ中間テストが終わった後に先生方と話し合った上で決めるそうです。写真部OBの方が来ることも考慮に入れて話し合うことにするということです。
 お互いが都合のいい日に引き伸ばし機の梱包・移動を行い、片づけが終わった後に私物らしき物を取りに来ていただければいいですよね?
 実際に出来るかどうかは分かりませんが、暗室の荷物を写真部の物か私物かを区別せずにいったん生徒会室に移動してしまい後からOBの方に分けていただくという事も出来ますか?」

 ぜひ、皆様のご意見を頂戴したい。


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