恍惚コラム...

第271回

 さる5月7日(土)、川越東高校(埼玉県川越市)に同校写真部OB7名が参集し、写真部の廃部を阻止する行動に出た。

 午前11時頃から続々と参集したOBらは、手に宣伝ビラ500枚とポスター40枚あまりを持って来校。当日の全校リスニングテストの影響で部室への入室が定刻まで許されないなか、食堂にてビラの整理やポスターの選別、また今後の活動方針などについて検討していた。

 同日午前、校長と面談した小紙CEOは、校長側の「いずれにせよ、OBの立場からは勧誘できないのだから、ここは顧問の頑張るべきところではないか」という質問に対し「本日は部員の勧誘もさることながら、まずは写真部という枠組みを守るべきとの趣旨に立った宣伝活動が必要」と回答した。また校長は従来からOBが行ってきた勧誘活動について、「勧誘ビデオはよい出来だった。それを踏まえて入部者がいないのであれば、いったん廃部にしてもかまわないのではないか」と発言。これに対してはCEO側から「部活動を『部員ゼロ2年間』で廃部にする条項もなければ、部活動をゼロから立ち上げられる条項もない。つまり、写真部が廃部になれば二度と復活はできないことを踏まえ、単なる慣習で写真部を廃部にするわけにはいかない」との説明がなされた。5分あまりの面談中、校長側からは具体的な方策は示されなかったが、OBらの行動に対しては是とも非ともつかない態度を示していた。

 その後、用意したビラを1年生のホームルームで配布する予定であったOBらだが、これは直前になって中止を余儀なくされた。午後12時35分のホームルーム開始に備えていたOBらに対し、顧問から「ビラの内容もさることながら、すでにほとんどの生徒が部活動を決定しているのに他部への入部を勧める趣旨はふさわしくない」とした幹部からのメッセージが伝えられると、OBらは一様に頭を抱え、とまどいを隠せない様子であった。ビラの作成を内諾なしに行ったなどの問題点はあるが、入部への勧誘というより写真部の存続を訴えた内容の当該ビラ。しかし内容に穏当でない面もあるが、一部改変の上で掲示する代替案もその後には示されていた。

 また、当日の目玉として学校側にも予告されていた「写真部存続への嘆願書」については3名のOBらがそれぞれの文案を提示。それぞれが個性ある文面で写真部の存続と生徒会規約第5章第26条の正当な運用を訴えていたが、これは投票によりS氏のものが採用され、7名の署名を得た。署名済みの嘆願書は生徒会顧問のK教諭の面前で音読のうえ、手渡された。

 嘆願書提出と同時に行われた会談のなかでK教諭は、「生徒会の評議委員会の日時はまだ未定であるが、来週中に行われることだけは確定している。本日預かった嘆願書は生徒会長に渡すが、これが議論にどのような影響を与えるかは未知だ。また、写真部廃部案が否決された場合にも顧問と部員がいない写真部の位置づけは非常にあいまいなものとなる」と語り、写真部をとりまく不安定な状況を強調した。それに対しOBらは「嘆願書の写しの評議委員への配布」「今後のさらなる写真部PRの機会」「写真部復興のあかつきには、部員が一人前になるまでの教育を行う」などを訴えたが議論は30分ほどにわたって平行線をたどった末、K教諭の公用のため中断された。

 なお、既報では「写真部顧問は映画部に移籍か」ということであったが、昨日囲碁将棋部への移籍が発表された。まったく写真と関係のない部活動への移籍となったが、これは「囲碁将棋部顧問からの要請(本人談)」とのことであった。

 一連の交渉終了後、OBらは独自に写真部部室扉部へのポスター貼付などを開始した。これは用意した各種ポスターについても生徒会の許可待ちとなったことから、あくまで治外法権である部室扉への先行貼付となったもの。その他の、本来廊下などに貼付される予定だったポスターについては現在顧問預かりとなっており、翌週以降の生徒会の検閲・検印の後に貼付される見通しとなっている。また、これらのポスターは一部が穏当でないと判断されるおそれもあることから、OBらが当日になって現場でポスターを制作する一幕も見られた。これらの追加作成分については逐次顧問宛に電子メールで送信され、同様の手続きを経て貼付される見込み。

 不完全燃焼のまま、午後5時半には撤収していったOBたち。さまざまな反省点が残された今回の集会であったが、翌週の生徒会による評議委員会に全てが託されるかたちとなった。今後は嘆願書の効果、およびポスターの正当な取り扱いに期待し、それがもたらす世論の誘導によって写真部が保全されることを希望している。



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