日々写真関係の仕事をしていると、ふと「こんな機材があったら・・・」とか「こんな夢のような事が実現しないものだろうか・・・」と考える事がある。まあ多くは荒唐無稽な夢に過ぎないものなのであるが、たまに我ながら忘れられない大発明にぶつかることもある。しかし俺は技術者ではなく一介の写真職人に過ぎないので、以下に書くアイデアを読んだ技術者の方は、ぜひこんな夢を実現させて欲しいと思うのである。
▼パトローネに入ったブローニー・フイルム
まあこれは既に70ミリフィルムを使うことで実現できる事なのであるが、これには特殊なマガジンとこれまた特殊なフィルムが必要で、なかなか実用的ではない。ハッセルブラッドやペンタックス645、あるいはリンホフ社の一部のカメラにはこの70ミリフィルム用のマガジンが用意されているのだが、誰も使っている人を見たことがない。と、いうわけで俺は24枚撮り、あるいは36枚撮りの70ミリ幅パトローネ入りロールフィルムを提案したい。ブローニーフィルムは巻き戻しが不要な反面、フィルム装填・取出し時の事故が非常に多い。何しろフィルムが裏紙と交互に巻き付けてあるだけなのだから危険なことは誰の目にも明らかであろう。また、最近の645判カメラは35ミリ判並の機動力が売りなのであるが、これを本当に35ミリ感覚で扱うととんでもない事が起こる。フィルム確認窓がないものだから思わず確認せずに裏ぶたを開けてしまうのだ。俺はこのお陰で何度も苦い思いをしたものだ。ブローニーがパトローネに入れば、こんな悲しい事故も格段に減るはずだ。「パーフォレーションがないではないか」という御仁もあろうが、最近のカメラはパーフォレーションが無くても巻き上げられるものなのである。大体今や35ミリフィルムのベロの部分の切り欠きも、オールドカメラファン以外には必要のない物になっているのである。最近では富士フィルム社の「イージーローディング」なるものも発表されているが、それでもまだまだブローニーフィルムはカメラマン殺しなのである。
▼絞りリングのクリックが選べるレンズ
プロカメラマンの常用フィルムといえば、やはりカラーリバーサル。印刷技術が進化した現在でも、印刷原稿用にはこのフィルムが主流である。
で、少々写真をかじった方ならお分かりであろう、このフィルムのラチチュードの狭さがカメラマンを泣かせているのだ。1/2段、時には1/3段の違いで写真が没か採用かが決まるのであるから、カメラマンの持病が胃潰瘍なのも納得できるところである(?)
そんな訳でぜひ欲しいのが絞りリングのクリックが1/2、1/3と選べるレンズなのである。これがあれば常に正確な「バラシ」(段階露光、の意)が得られて安心なのであるが・・・。まあキヤノンEOSを使っている御仁には無縁の話なのであるが、ニコンのAiレンズを使っているプロにとってはこれは福音となるであろう。まだまだダイヤルで絞りをバラスなんて考えられないプロも多いのだから・・・。
▼カラーメーター内蔵型カメラ
皆さんは「カラーメーター」というものを御存知だろうか。これは照明光の色温度などを計測して必要なフィルター補正値を表示してくれるものなのであるが、これは使いだすと便利極まりない代物なのである。蛍光灯から白熱電灯、はたまた曲者のハロゲン電球光までコレ一台で判定可能な上に、必要なフィルター補正値が分かるのだ。これはミノルタカメラから発売されているものなのであるが、1台13萬円もする上に露出計と同時に持ち歩かねばならないのですこぶる邪魔なのである。そこで欲しいのがカメラ内蔵型のカラーメーターである。ニコンF5には色を感じる素子が内蔵されているというが、コレをカラーメーターに応用できないものだろうか。俺はニコンF5のRGB測光が発表された時からコレが出来ないものかなあと思っていた。あと5万、10万高くてもこれが内蔵されたら俺は買うね。
う〜ん、来週もこの話かな。