第20回

 何だか鬱陶しい日々が続きますな。これが本来の梅雨というものなんだろうが、やはり実際に来てみると晴れていた方がいいねい・・・。でも去年の梅雨は本当にひどかったから、これはこれでバランスが取れていいのかも。もう何だか全然外に出る気がしなかったからねー。皆さん、梅雨はお好き?それとも嫌い?

 俺は高校時代、御存知のように自転車通学をしていたのだが、その頃の梅雨ははっきりいって鬼門だったね。愛機α−8700iは水浸しになるわ、カバンに入れた教科書や辞書の角から段々水が染みてきてみすぼらしい姿になるわでもう大変。そんななかでも最も苦労させられたのは、「雨天時、雨合羽着用の掟」だったさ。今でも時々自転車やバイクで雨合羽を着ている人たちの姿を見ることがあるが、タダでさえムシムシする雨天の時にあんな密封性の高い服を着るとは何事か!と思うね。ちょっと高級なタイプのものにはメッシュの換気口がついていたりもするけど、やっぱり焼け石に水、その暑さは池袋西口のサウナ「和楽の郷」に匹敵するものがあったわ。で、学校帰りに雨が降りだしたときなんかはもう大変だったのである。一応折り畳み傘なんかをカバンに忍ばせてあったりもしたのだが、建前上それは見つかってはならないので学校から少し離れた時点で使いだすことにして、学校から出るときには便所から拝借してきたゴミ袋に腕と首が通るような穴を開けてそれを着たものだ。そんなわけで夕立の時の学校周辺にはゴミ袋を着た少年たちが集団で自転車に乗っているという、何とも摩訶不思議な光景が現出したという・・・。

 で、俺はそんな雨合羽に苦い思い出があるのである。

 それは何の変哲もない、誰もがズームイン朝の後半戦に退屈さを覚えていた朝の出来事であった。梅雨時で、毎日雨が降りくらしていて、憂うつな気分になりながら俺はいつものように仲間2人と学校へ向かっていた。勿論全員雨合羽。その時俺は、もう慣れっこになっていた雨合羽の構造的な欠陥を発見したのである。
「フードがどんどんずり下がってきてしまう・・・!」
 皆さんごぞんじの合羽のフード。勿論傘と併用するときにはフードはしなくても済むのであるが、校則を遵守するのが旨のエクスタシーブックス社社長(当時、日本エクスタシー協会)としてはその時フードを深々と被っていたのだった。それが仇になった。俺は強度の近視のためコンタクトレンズの世話になりながら生きているのであるが、そのフードの先端部が何と突然目の中に!そんなわけで俺はコンタクトを落としてしまったのだ。あの忌忌しい合羽のお陰で!ええ、どうしてくれるんだいこのカッパ野郎!
 で、更に悪いことにはその時俺は中学生のヤンキーに追いかけられていたのであった。俺達が通っていた道は某川越市立中学校の通学路でもあったのだが、俺は当時その中学校のヤンキーのお気に入りだったのだ。出会うたびに「おい!」だの「コラ〜!」だのの罵声を浴びせられていたのである。始めこそ応戦していた(口でね)俺だったが、段々ウザくなってきてその時には逃げるが勝ちとばかりに逃げ回るのが常だったのである。相手は歩きだしね。そんな時にカッパ野郎がコンタクトを落としやがったものだからもう大変。俺はそのコンタクトを探すことが出来なかったのだあ。その日、隻眼同然で過ごした俺は雨合羽と、横山やすし似のヤンキーへのリベンジを心に誓ったのであった・・・。そして優雅にバス通学をしている輩への憎しみがふつふつと沸き上がってきたのだ。

 大学に入ってからは雨合羽の呪縛からは解き放たれたのだが、依然として雨天でも自転車に乗らねばならないという問題は残ったままだった。皆さんは、雨の自転車では傘派?それともカッパ派?まさか、ゴミ袋派?

  

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