第102回

 しりとり専用掲示板の方にも少し書かせてもらったのだが、先週は4日間、ずっと浦和の日本赤十字社埼玉県支部の「赤十字法救急員養成講習」にカンヅメだった俺なのである。どうして俺がこのような堅気な講習を受けることになったかと気になる皆さんも居られるだろうが、実は何の事はない、会社がプールの監視員業務を受託するために必要だったという次第。公立のプールというのが大体何処の市町村にもあるものだが、これを夏の間管理するのもビル管理業者の仕事で、もちろんそれは公共事業なので入札によってその業者が決定されるのだが、こうした講習に行った人間が1社に1名は居なければ応札できないという次第。こんな人間愛に基づいた献身的な講習にそんな理由で行くのも何か不純なような気がしたのだが、社命とあれば仕方あるまい。

 その講習の内容はといえば、実技がふんだんに盛り込まれたきわめて実践的なシロモノだった。行く前には「どうせ座ってテキストを読まされるのが関の山だろう」と思っていた俺だったが、終わった後には恥ずかしながら筋肉痛に襲われた程だった。人工呼吸&心臓マッサージ・包帯法・傷病者の運搬・・・。まさに「カラダで覚えさせる」といった感じだった。中でも、皆様ご存知の人工呼吸&心臓マッサージ(この2つをまとめて「心肺蘇生法」と呼ぶ)。これが実に体力を要するのである。もちろん生身の人間にこれを行うのは危険なのでダミー人形を使ったわけだが、なにしろ胸のあばら骨を3センチから5センチ押し下げろというのだからたまらない。ちょっと想像しただけで痛くならないだろうか。この「押し」を15回連続で施し、その直後に人工呼吸を2度吹き込み、また同じことを繰り返すのである。実際には救急車が来るまで。しかもこれであばらが折れる可能性は大きいけれども、死ぬよりはマシなので続けてOKなんだそうで。しかも折れてしまっても法的な責任は問われないとか・・・。でもこれをしておけば救命率が飛躍的に高まるというのだからやらぬわけには行くまい。習ってしまった以上。そんなわけで皆さん、俺の前では安心して倒れられる!はず・・・?それから包帯法。俺の前ならいくらすりむこうが額を割ろうがOK!・・・なはず・・・。社命で行ったのにすっかり得した気分なのであった。4日間これで給料が貰えるのだから。

 「講習」と言えば「教室」が付き物なのだが、久方ぶりに教室の雰囲気を味わうのもまた、得した気分だった。時間と同時に着席して、じっとして居なければならないこのマゾヒスティックな快感。学生の皆さんは「つまらぬ」とお思いだろうが、社会に出てからこれを体験するのはまた、珍味として味わえるものなのである。確かに会社にも時間着席やら休憩時間の厳守といった事はあるが、学校・教室のそれとはまた違う種類のものだ。何か、こう、拘束感。そして頭の中で巡らす関係のない考え。こんな時間が人生には時々、必要なのだと思う。

 しかし、4日間とはいえ県都・浦和に通うのは晴れがましい気分だった。田舎者根性丸出しで恥ずかしいのだが、県庁やら埼玉会館やら県立近代美術館を擁する浦和はやはり俺にとっては大都会なのである。これをお読みの皆様にも浦和在住の方がおられるはずだが、恐らく中に居ては分からないと思うんである。隣の芝生の話ではないけれど、やはり浦和って特別なんだなぁ・・・俺にとっては。何か頭良さそうな感じがするじゃないですか。偏見?そんな浦和の市名が5月には無くなってしまうのかと思うと何かうら寂しい気分にさせられる。現に浦和市内の路傍の掲示板には「5月((何日だっけ?))、さいたま市誕生!」などと張り紙がしてあるのだが・・・ちょっと待て!誰が「さいたま」を平仮名で書いていいと決めたのか?浦和が無くなるだけでも嫌なのに「埼玉」が「さいたま」だなんて・・・ノーフューチャーだわ。行田市の横暴よ!「あきるの市」以来の不作だとは思わないのだろうか。「西東京市」はかなり好きなのだけれど。やはり日本の地名は漢字で書かなければイケマセン。そんなわけで今週は〆。



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